前回のお話のつづき。(
前回「モノシルは知りたがり。」)(飛び飛びで書いているお話です。)
「ほら、この穴をみてごらんよ。空っぽなんだよ。
空っぽで何も無いなんて、こんなにつまらないことはないよ。」
ヘナマメは、どうして空っぽが困るのかを言いました。
そして、ヘナマメとモノシルの2人は、穴をのぞきこみました。
じっと穴をのぞきこんでいると、
穴の底は、真っ暗で、底なしで、
どこまでも、どこまでも、穴が深く続いているように見えました。
もしも、ここで落ちてしまったら、
もう二度と戻って来れないかもしれない。
ヘナマメには、それは、そんなふうに暗くて怖い穴に思えました。
ただの空っぽの穴だったはずが、
いまでは、
地面に深く沈んでいくトンネルのような、
先の見えない穴に変わってしまったようでした。
モノシルは、穴の底をじっと見つめながら、言いました。
「この穴の底は、いったいどうなっていると思うかい?」
ヘナマメもじっと穴を覗き込みながら言いました。
「灯りはついていないようだね。
それに、きっと空っぽさ。
だって、このなかに、ずっといたから知ってるよ。
今みたいに暗くて深くなかったけれどね。」
そうなのです。
前に見た穴と、いま目の前に見ている穴は、
同じ穴だけど、なぜだか違う様子なのでした。
ヘナマメはだんだん怖くなってきました。
「こんなところ、二度と入りたくない。」
モノシルは穴の底がどうなっているのか、知りたくてたまりませんでした。
「いったいどこまで続いているんだろう。
それに、穴の底はほんとうに空っぽかなあ。
本当のことを、調べてみたくはないかい?」
そう言って、夜空の星の光をキラキラと反射させながら、ヘナマメをじっと見つめました。
穴は大きな口をあけて、2人を待っているかのようでした。
大きな口の奥の方は、真っ黒くて、
外の光も音も、入ってくるもの全てを、
真っ黒い色で、塗りつぶしてしまいそうでした。
つづく。
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