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《へなまめ星人の手帖》

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底なしの穴。(ヘナマメとモノシルの前回のつづきのおはなし。別名どん底シリーズ)

前回のお話のつづき。(前回「モノシルは知りたがり。」)(飛び飛びで書いているお話です。)


底なしの穴。(ヘナマメとモノシルの前回のつづきのおはなし。別名どん底シリーズ)_d0229251_2328618.jpg

「ほら、この穴をみてごらんよ。空っぽなんだよ。

空っぽで何も無いなんて、こんなにつまらないことはないよ。」

ヘナマメは、どうして空っぽが困るのかを言いました。


そして、ヘナマメとモノシルの2人は、穴をのぞきこみました。


じっと穴をのぞきこんでいると、

穴の底は、真っ暗で、底なしで、

どこまでも、どこまでも、穴が深く続いているように見えました。


もしも、ここで落ちてしまったら、

もう二度と戻って来れないかもしれない。

ヘナマメには、それは、そんなふうに暗くて怖い穴に思えました。


ただの空っぽの穴だったはずが、

いまでは、

地面に深く沈んでいくトンネルのような、

先の見えない穴に変わってしまったようでした。


モノシルは、穴の底をじっと見つめながら、言いました。

「この穴の底は、いったいどうなっていると思うかい?」


ヘナマメもじっと穴を覗き込みながら言いました。

「灯りはついていないようだね。

それに、きっと空っぽさ。

だって、このなかに、ずっといたから知ってるよ。

今みたいに暗くて深くなかったけれどね。」


そうなのです。

前に見た穴と、いま目の前に見ている穴は、

同じ穴だけど、なぜだか違う様子なのでした。


ヘナマメはだんだん怖くなってきました。

「こんなところ、二度と入りたくない。」


モノシルは穴の底がどうなっているのか、知りたくてたまりませんでした。

「いったいどこまで続いているんだろう。

それに、穴の底はほんとうに空っぽかなあ。

本当のことを、調べてみたくはないかい?」

そう言って、夜空の星の光をキラキラと反射させながら、ヘナマメをじっと見つめました。


穴は大きな口をあけて、2人を待っているかのようでした。

大きな口の奥の方は、真っ黒くて、

外の光も音も、入ってくるもの全てを、

真っ黒い色で、塗りつぶしてしまいそうでした。


つづく。



by henamame | 2014-09-29 23:54 | お話/どん底シリーズ | Comments(0)